不要な木を処分する場合、伐採とセットで抜根もおこないましょう。伐採は木を根元あたりで切る作業で、根が残ります。根が残ると、木の種類によってはまた成長してきたり、ほかの害が発生したりすることがあるため、伐採後は抜根をおこなったほうがよいのです。
このコラムでは、抜根の手順や、業者に依頼する場合の費用などを解説していきます。「自分で抜根したい」という方も、「大変そうだから業者に頼んだほうがいいのかな」という方も、ぜひ参考にしてみてください。
抜根が必要・重要な理由
冒頭でも簡単にふれたように、不要な木を処分する際には、伐採と抜根という作業があります。伐採とは木を根元あたりで切り倒す作業です。伐採後は地上に切り株が、地中に根が残ります。そして、その切り株と根を取り除く作業が、抜根となります。
ちなみに、「ばっこん」には「伐根」と「抜根」という字があります。伐根はおもに林業で用いられる言い方で、伐採から根の除去までをおこなうことを指します。それに対して抜根は、すでに伐採された木の根を除去することを指すという違いがあるのです。
庭木のように個人で管理している場合、不要な木に対して伐採をおこなえば日当たりが改善されたり、落ち葉の処理や剪定の手間から解放されたりするため、「伐採までやればじゅうぶん」と考える方もなかにはいらっしゃるかもしれません。
しかし、抜根をせずに木の切り株・根を放っておくことで起こり得る問題がいくつかあげられます。このコラムでは、抜根すべきおもな3つの理由をお伝えします。
理由1:シロアリ・蜂などの害虫予防
抜根までおこなうべき1つ目の理由は、シロアリや蜂などの害虫被害を防ぐためです。
害虫は、冬が近づくと寒い季節を乗り越えるために倒木や枯木の中にこもります。そして、そのまま春を迎えると、シロアリや蜂は活動を開始します。そうなってしまうと、シロアリが建物へ侵入したり、蜂が庭を飛び回ったりする状況になりかねません。
このように、木の根を残したままだと害虫が発生しやすくなり、住む人や建物に大きな危険がおよぶ可能性があるため、抜根をおこなったほうがよいのです。
理由2:庭の美観・ケガ防止
伐採をおこなえばその庭はいっけんすっきりしているように見えるかもしれませんが、抜根されていない切り株が庭にあるとどうしても目立ってしまいます。また、切り株から木がまた生長しだすこともあります。
さらに、切り株を残すと庭の美観だけでなく、安全面の問題が発生することもあります。たとえば、庭で遊んだり作業をしたりしているときに、切り株につまずいて思わぬ事故となる可能性が考えられるのです。
このように、庭の美観と安全性を考えると、お子様やお年寄りがいるご家庭ではとくに、抜根をしておいた方がよいでしょう。
理由3:庭リフォームができない
伐採をして「すぐに」とは考えていなくても、その後、ご自宅のお庭をリフォームする機会があるかもしれません。
そんなときに切り株があっては、リフォームの方法が限られてしまったり、最悪の場合リフォームが不可能になってしまったりするおそれもあります。
根っこは土壌の奥深くまで張っている場合があるため、のちのことを考えると、できるだけはやい段階で抜根をおこなう方がよいでしょう。
DIYで抜根する場合の方法・注意点
抜根は非常に力のいる作業であるため、一般的には、業者に依頼されることが多いです。しかし、目安として木の樹高が3m未満、切り株の太さが直径20cm程度である場合は、自分で抜根できる範囲だといわれています。
自分で抜根できれば業者に依頼する際の費用を抑えられるので、ここでは、伐採をしたあとの抜根の流れをご紹介していきます。
竹の抜根について
上記のように自分で抜根できる範囲をお伝えしましたが、竹の場合、自分で抜根するのは難しいでしょう。それは、竹が地中に張る「地下茎」は成長がはやく、範囲が広くなりやすいという性質があるためです。
竹の根を取り除きたい場合には、根を腐らせたり枯らせたりする方法がよいといわれています。根を掘るのが難しい場合は腐らせるという方法もをご覧ください。
抜根に必要な道具
自分で抜根できる範囲である場合、下記のような道具を用意すれば重機を使うことなくDIYで作業できるでしょう。
用意する道具
- スコップ
- シャベル
- 高圧洗浄機
- ノコギリ
- 軍手
また、ノコギリのように鋭い道具も使うため、体にケガをすることのないよう長袖の服を上下着用しましょう。
そのほかあるとよい道具
- 除草剤・農薬
- チェーンブロックやジャッキ
薬剤の準備は任意ですが、植物を枯らすための薬剤を数日前から根の部分に吸収させておくことで木の活力を弱め、抜根作業を少しでも楽にするというねらいがあります。薬剤を使用するときは、周囲の植物にかかり枯らしてしまわないよう気をつけてください。
チェーンブロックやジャッキについては、抜根がとくに大変な場合に頼りになる道具です。小さい力で重いものを持ち上げたり支えたりする工具で、製造、工事、造園などさまざまな現場で使用されています。
チェーンブロックやジャッキは性能によっては価格が数万円になることもあります。新たに購入しようと検討する際には、業者に抜根を依頼したほうが安くすむ場合もあるので、業者の見積りと比較してから購入を決めるのがよいでしょう。
抜根の手順と流れ
抜根作業の流れはこのようになります。
1.できるだけ根本で伐採
伐採後すぐに抜根をおこなうのであれば、伐採のときに幹をできるだけ地面に近い部分で切るとよいです。そうすることで、抜根作業が幾分か楽になります。幹が長いと感じる場合は、ノコギリを使ってできるだけ短くしておきましょう。
2.穴を掘りながら高圧洗浄機で土を落とす
根っこの周りをスコップやシャベルで掘っていく作業に入りますが、このときに高圧洗浄機があれば非常に便利です。高圧洗浄機を使うことで、根の周りについている土を落とすことができます。
根の周りを掘るときのコツは、根の全体像を把握するために、全方向から少しずつ掘っていくことです。
3.むき出しになった枝や根は少しずつ切っていく
根の周りを掘っていくと、だんだん根や幹がむき出しになってきます。抜くときに根が重くなるのを防ぐため、むき出しになってきた根や幹は、切れる時点でノコギリを使い切っておきましょう。
4.限界まで掘れたら引っこ抜く
「もうこれ以上は掘れない」、「もうそろそろ根が抜けそうだ」という状態になったら、根っこを左右に揺らしたりして引っこ抜く準備をします。揺れ幅が大きくなってきたら、抜いてみましょう。根がまだあるようであれば、残りを使って切ります。
この作業は力がいるうえに、周りに根があり手足にケガをする危険もあるため、じゅうぶん注意しておこなってください。
自分で抜根をおこなう際の注意点
自分で抜根をおこなう際には、大変な労力が必要であり、危険から身を守る必要もあります。抜根作業をする前に、以下のことを頭に入れておきましょう。
・害虫に気をつける
伐採してしばらく時間がたってしまっていると、シロアリや蜂などの害虫が樹木の根に住みついている可能性もあります。健康的被害を受ける可能性もありますので、害虫がいないかあらかじめ調べておくとよいでしょう。
・ケガや熱中症に気をつける
作業中、思わぬケガをしてしまうこともあるかもしれません。とくに、ノコギリの使用中や力仕事の最中には、安全面に注意が必要です。また、夏場では熱中症の危険があるため、こまめに休憩をとったり、しっかりと水分を補給したりしましょう。
・ほかの植物の根まで傷つけてしまわないように注意する
お庭にはほかの植木や小さな植物が植えられていることもあるでしょう。抜根する木のまわりにほかの庭木がある場合は、作業中に危害が加わらないように気をつけてください。とくに、薬品を使う際には注意が必要です。
・建物近くにある抜根は避け、業者に相談するのが無難
家など建物が近くにある場所で抜根をおこなう場合、思わぬ事故で建物に損害を与えてしまうケースがあります。たとえば、道具で建物を傷つけてしまったり、建物の下に張っている根を抜く際に建物の基礎に影響してしまったりすることもあるようです。
また、抜根する場所が他人の建物に近い場合、抜根時の事故で近隣トラブルに発展してしまうおそれもあります。このようなリスクを避けるためにも、建物近くで抜根をおこなう際には、業者に依頼したほうが安心です。
ここまで解説してきたように、必要な道具をそろえるのに大きな費用がかかってしまう場合や、自分で作業するのが難しい場合などは、いちど業者への依頼を検討してみるのがよいでしょう。
抜根した根の処分方法
抜根後の根は、庭に放置せずはやめに処理しましょう。そのまま庭に放置しておくと、腐朽菌(ふきゅうきん)が発生してシロアリがわいてしまうことがあります。
害虫被害の防止や庭の美観・安全のための抜根作業が無意味になってしまわないよう、抜根後は根をきちんと処分しましょう。
今回は、一般的な根の処分方法を2つご紹介します。ご自身のおこないやすい方法で、根を処分してください。
自治体指示の下燃えるゴミに出す
自治体によってゴミ捨てのルールは違いますが、一般的に、木の根は燃えるゴミとして出せる自治体が多いようです。しかし、なかには切り株の処分ができない自治体がある可能性もあるので、自治体のHPなどで確認するようにしてください。
根をゴミとして出すときは、大きなままでは危険なので、小さめに切り袋の中にまとめて入れて出すようにしましょう。
業者へ依頼する
抜根作業自体を業者に依頼する場合は、事前に依頼しておけば幹や根を処分してくれる業者もあります。ただし、業者によっては処分費が発生することもあるので、事前に確認するようにしてください。
また、DIYで抜根をおこなう場合にも、掘り起こした根の処分に対応している業者もあるようです。業者に根の処分を依頼するだけなら費用は高額にならないこともあるので、いちど相談してみるのもよいでしょう。
根を掘るのが難しい場合は腐らせるという方法も
木の樹高や太さから自分で抜根するのが難しいと感じる場合や、抜根しようとしたら想像以上に根が深かった場合は、根を掘るのではなく腐らせる・枯らせるという方法もあります。
しかし、この方法は長い期間を必要とすること、完全に根を腐らせられない・枯らせられないこともあることを知っておいてください。そのうえで、業者に抜根を依頼するか、以下の方法で根を腐らせる・枯らせるかを検討しましょう。
除草剤を使う
切り株に除草剤を塗って、時間をかけて根を弱らせる方法です。除草剤は、グリホサート系の成分が使用されているものが効果的でしょう。
除草剤の塗り方については、伐採後すぐか、時間がたっているかで違いがあります。伐採後すぐであれば、切り株の表面に除草剤をたっぷり塗ります。
いっぽう、伐採してから時間がたっている場合は表面に塗っても効果が出にくいため、ノコギリでさらに数センチ下で切ってから除草剤を塗ります。または、電動ドリルを使って切り株に数か所深い穴をあけ、その穴に除草剤を注入してもよいでしょう。
この方法の注意点としては、雨が降ると除草剤が流されてしまうという点があります。梅雨のように雨が続く時期は避けておこないましょう。また、雨が降る日にはあらかじめブルーシートなどで切り株が濡れないようカバーしておくとよいです。
切り株を埋める
切り株根を土で埋めることによって、光合成をさえぎる方法です。光合成ができなくなると根は弱り、やがて腐っていきます。
切り株を埋める際には、植物を分解する効果が高い腐葉土を使うのがおすすめです。腐葉土で切り株を埋めて、定期的に水をやれば、時間をかけて分解が進んでいきます。
この方法の注意点としては、梅雨や夏場のように湿度が高い時期におこなうと虫が発生しやすいという点があげられます。秋や冬のように湿度が低い乾燥した季節におこなうとよいでしょう。
巻き枯らしをする
巻き枯らしとは、木の表皮をはいで養分の流れをストップさせ、木を枯らす方法です。伐採後の切り株に巻き枯らしをする場合には、切り株全体の表皮をはがしてください。
しかしこの方法は効果が出る樹木・出ない樹木があります。基本的に、地中の根から芽吹くタイプの樹木には効果がありません。
安全に・きれいに抜根するには業者を利用しよう
この記事ではDIYで抜根をおこなう方法をご紹介しましたが、安全に・きれいに抜根するには業者を利用するのがおすすめです。
業者を利用するおもなメリットは、難しい抜根も対応できる点です。たとえば、幹が太かったり根が深かったりすると、重機が必要になることもあります。個人で重機を用意する場合、レンタルであっても、資格が必要であったり費用が高額になったりするでしょう。
また、建物や外壁に近い場所での抜根は、基礎や地盤に影響をおよぼす危険があります。業者であれば、作業前にそのようなリスクに気付き、適切な方法で作業をおこなえるのも、大きなメリットでしょう。
このように、安全性や確実性を考えると、抜根は業者に任せたほうが安心だといえます。業者の利用を検討される際には、以下でご紹介する料金相場やポイントを参考にしてみてください。
業者の料金相場
抜根や根の処分を造園業者や植木などに依頼する場合、木の状態、作業の難易度、使用する機材などによって料金は大きく変動します。実際の料金は現地調査をし、見積りをとることでわかりますが、参考までに、料金相場を下記の表にまとめました。
下記の料金相場は、弊社が調べた業者5社の平均値を算出したものです。
抜根料金(1本あたり) | 根の処分料金(1本あたり) | |
幹の周囲:30cm以内 | 11,800円 | 3,400円 |
幹の周囲:31cm~50cm以内 | 27,200円 | 6,000円 |
幹の周囲:51cm~80cm以内 | 44,600円 | 11,000円 |
幹の周囲:81cm以上 | 75,400円 | 19,800円 |
※提示されている価格情報はこの記事が公開された当時のものです。(2020年10月時点)
今回はこのように相場料金をお伝えしましたが、実際の料金を知るためには、業者に現地調査と見積りを依頼しましょう。その際には、作業の依頼が確定するまで無料で対応してくれる業者に相談することをおすすめします。
業者を利用する際のポイント
抜根や根の処分で業者を利用するときに大切なポイントを、2点ご紹介します。業者を選ぶ際の参考としてみてください。
1.見積りや作業内容をよく確認する
さきほど解説したように、抜根や根の処分の料金は状況によって大きく差が出ます。そのため、事前調査や見積りの際には内容をよく確認し、疑問点や不明点がなくなるまできちんと説明を求めましょう。
よく確認せずに作業を依頼してしまうと、たとえば、「見積りに根の処分が含まれていなかったため、あとになって追加料金が発生した」などといったことがおこるかもしれません。作業を依頼する前には、見積りや作業内容をよく確認するようにしましょう。
2.相見積りをとる
抜根や根の処分の料金は業者によって設定がさまざまなため、至急作業をしなくてはならない場合以外は、複数の業者から相見積りをとることをおすすめします。
手間ではありますが、相見積りをとることで、より費用が安い業者を選ぶことができるでしょう。また、業者を比較することで、費用面だけでなくサービス面でも業者ごとの特徴がみえてきます。
伐採や抜根は弊社にご相談ください!
弊社のサービスは、伐採や抜根をおこなう業者をご紹介するものです。お電話でご要望をうかがったら、お客様にあったお近くの業者をご紹介いたします。
現地調査と事前見積りは基本的に無料なため、「まずは料金を知ってから業者に依頼するか決めたい」「相見積りをとりたい」という方でも安心してご利用いただけます。伐採や抜根をお考えの方は、ぜひ弊社にご相談ください。
まとめ
このコラムでは、伐採の際には抜根までおこなったほうがよい理由や、自分で抜根をおこなう方法について解説してきました。まとめとして、重要なポイントをふりかえりましょう。
- 害虫を寄せ付けず、安全で美しいお庭を守るためにも早めの抜根が大切
- 抜根作業はDIYでもできる
- DIYで抜根する際には、まわりの植物や建物にはじゅうぶん注意する
- 根の処分は、自治体にごみとして出すか、業者に引き取ってもらうこともできる
- 自分での抜根が少しでも不安に感じたら伐採業者に依頼する
- 業者を利用する際には、見積りや作業内容をしっかり確認する
伐採や抜根でお困りの際には、ぜひ弊社にご相談ください。